2008年03月25日

全国の、春子さんへ

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 近所の桃畑も、桜も、雪柳も、春満開!!


 昨年の春、「ル・プティ・カド4 〜朗読とマリンバの夕べ」で朗読した、
『名前』(角田光代 著)の中に、こんな素敵な場面があります。



 春に生まれた“春子”は、その平凡な名前ゆえに、
平凡な性格で、平凡な人生を歩んできた、と思っている女性です。

 その春子が結婚し、おめでたとなり、出産を目前に、
夫とともに、タクシーに乗って病院に向かうそのとき、目に飛び込んできた光景です。

 時はまさに、春!


『  駅前ロータリーから左右に続く道路を覆うように、桜の花が満開だった。
まるでアーチである。

 ・・・・・走っても走っても桜は途切れなかった。
ときおりはらはらとこぼれ、薄紅色の花びらがタクシーの窓にぺたりと貼りついた。
桜の花は、満開になるとなぜか動きを止めたように見える。

 ・・・・・春だ、と今さら気づいたかのように思った。
薄桃色の桜が頭上を覆い、その向こうに澄んだ青空があり、
目線を落とせば、道ばたには黄色い菜の花が風に揺れていた。
家々の庭からは、れんぎょうが、パンジーが、名も知らぬ色とりどりの花が、
私を見送るように顔をのぞかせている。
春だった。
視界のすみずみまで、春だった。

 ・・・・・春子。
そうか、春子。
母が私を産むために急いだ道も、こんなふうにまるごと春だったんだろう。
ああ春だと、おなかをさすりながら母は思ったのだろう。
私は世界がこんなにも色鮮やかなときに、子どもを生むんだと、
願わくば、その子どもが目を見開いてこの世界を見てくれるようにと、
思ったのだろう。   』


 この季節に生まれた、全国のハルコさん、ハルオさん、
この季節に生まれでようとしている、まだ見ぬ誰かさんに、

 乾杯!! 


 


posted by ピロコ at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | ことばの世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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