2008年06月18日

父の願い

 今週のウィークデイは比較的ヒマなので、インターネット朗読の準備。
これまでの舞台で朗読済みの作品を始め、色々な小説等に目を通しているところです。

 先日の父の日は、私の知る限り、母の日ほど感謝されなかった(笑)
パパ達が多かったようですが、そんな中、この本は、なんだかジ〜ンときました。



 有島武郎さんの『小さき者へ』より


 「 お前たちが大きくなって、一人前の人間に育ち上がった時・・・、
その時までお前たちのパパは生きているかいないか、それはわからない事だが、
父の書き残したものを繰拡げて見る機会があるだろうと思う。
その時この小さな書き物もお前たちの目の前に現れ出るだろう。
時はどんどん移って行く。
お前たちの父なる私がその時お前たちにどう映るか、それは想像も出来ない事だ。
恐らく私が今ここで、過ぎ去ろうとする時代を嗤い憐れんでいるように、
お前たちも私の古臭い心持を嗤い憐れむかもしれない。
私はお前たちの為めにそうあらんことを祈っている。
お前たちは遠慮なく私を踏み台にして、高い遠い所に私を乗り越えて進まなければ
間違っているのだ。
然しながらお前たちをどんなに深く愛したものがこの世にいるか、
或いはいたかという事実は、永久にお前たちに必要なものだと私は思うのだ。
・・・・ 」


 有島武郎が、妻を結核で失った直後に、残された3人の子供達にあてた形で
書かれたものです。

 そして、以下の文で結ばれています。
実は、有島武郎は、これを書いてから5年後に自殺してしまいます。
しかし、父の思いを託したこの作品を、後に子供達は読んで、自分達が両親に
愛されたという証は、確かに手に入れた事でしょう。



 「 小さき者よ。
不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて
人の世の旅に登れ。
前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。
恐れない者のまえに道は開ける。
 行け。勇んで。小さき者よ。」

 
posted by ピロコ at 02:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ことばの世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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